チェスのプロモーションとは、ポーンが一番奥の列まで進んだときにポーン/キング以外のクイーン・ルーク・ビショップ・ナイトから好きな駒を選んで昇格できるルール。将棋の「成る」に近いイメージです。
以下はプロモーションの例です。一番上まで進んだ白ポーンがクイーンに変身したことがわかると思います。
ポーンはチェスの駒のなかで最も価値が低いとされていますが、プロモーションできれば最も強力なクイーンに変身できます。そのため、チェスの終盤では「いかに早くポーンを進めてプロモーションするか」が鍵になります。
ここからはもう少しだけプロモーションについて深堀します。最後には実際に駒を動かしてプロモーションを実践できるようにしているので、試してみてください。
プロモーションは放棄できない義務
前回解説したアンパッサンはプレイヤーがアンパッサンするか・しないかを選べる権利でした。
しかし、ポーンはチェスの駒のなかで唯一「後退できない駒」なので一番奥の列(ランク)に進んだ時点で必ずプロモーションしなければなりません
プロモーションする駒はクイーンが基本。状況によってナイトやルーク
ポーンがプロモーションするとき、昇格できる駒はクイーン・ルーク・ビショップ・ナイトの4種類です。
では、どの駒に昇格すればよいのか?基本的にはクイーンを選ぶことが多いです。
お気付きの方が多いと思いますが、クイーンはルークとビショップを組み合わせた働きができるので、ほとんどの状況でルークやビショップを選ぶ理由がありません。
ナイトは動き方が特殊なので、チェックやフォークなどを狙ってあえてナイトに昇格する場合があります。
以下では、あえてルークに昇格する例とナイトに昇格する例を紹介します。
ルークにプロモーションする例:ステイルメイトを避ける
こちらのシーン、パッと見ただけではクイーンに昇格させたくなりますが、クイーンに昇格してしまうと相手の黒キングの動く先がなくなってしまいステイルメイト(引き分け)となってしまいます。
そこで、あえてルークに昇格します。すると黒キングはh6に動くしかなくなり、白はルークをh8に動かしてチェックメイトとなります。
チェスはパスができないゲームなので、黒はキングを動かしたくないけれどh6に動かさなければなりません。
このように「ほかに手がないから仕方なく悪い状況になる手を指すしかない」という状況に追い込むことをツークツワンクと呼びます。
ナイトにプロモーションする例:チェックをかける
コチラはアルビンカウンターギャンビットという定跡から発生するラスカートラップと呼ばれる有名なトラップです。
ナイトにプロモーションすることでチェックをかけ、あわよくば相手のクイーンの守りから引き剝がしてやろうという狙いがあります。アンダープロモーション(クイーン以外に昇格すること)が定跡の一部に組み込まれている珍しい例です。
問題:駒を動かしてプロモーションしてみよう
最後に、実際にチェスの駒を動かしてプロモーションを体験してみましょう。
なお、駒は正解の位置にしか動かないようにしていますが、どの駒に昇格するかは自分で選ぶ設計です。最適な駒を見つけられるでしょうか。
正解:ナイト
クイーン・ルーク・ビショップのどれを選んでも黒キングはチェックにならず動ける場所もないのでステイルメイト(引き分け)になってしまいます。ナイトだけがチェックメイトにできます。
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